【ベアドック】(熊対策犬)この犬をご存じでしょうか?
ベアドッグとは、クマの匂いや気配を察知するための特別な訓練を受けた犬です。

何か暮らしの役に立つの?
こんな疑問が浮かぶと思います。
近年ニュースで、街中にクマやイノシシなどが出没するといった事件が多発しています。
人と野生動物の生活圏があいまいになっている今日この頃です。
そこで、日本における【ベアドック】事情をお届けします!
ベアドック

カレリアン・ベア・ドッグ
フィンランドのカレリア地方原産の犬種。別名カレリアン・ベアハウンド、カリアラン・カルフコイラ。
歴史
古くから猟犬としてカレリア地方に根付き、人と暮らしを共にしてきました。
黒白の模様が特徴ですが、これは夜間や雪の中でも見分けることができるように
この色分けになっています。
その名の通りおもにクマを狩るための犬であります。
北欧の各国でも人気のある犬で、実用以外でもペット、ショードックとして
飼われています。
特徴
日本犬によく似たスピッツタイプの犬。
見た目
- 筋肉質の引き締まった体つき、脚にもしっかりした筋肉がついている。
- 噛む力は100kg。
- 耳は立ち耳、尾は巻き尾
- 体高は52~60cm。体重は17~28kg。大型犬になります。
性格
- 性格は主人に忠実で家族に対しても愛情深い
- 勇敢で自信があり、プライドも高い。
- 見知らぬ人や犬に対しては警戒心が非常に強い。
- 家族に対しては人懐こいが、自分がリーダーと認めたものにのみ服従する。

日本犬みたいだね
日本初ベアドックハンドラー 田中純平
そんなベアドックと行動を共にするパートナーが、ハンドラーと呼ばれる人たちです。
日本初のベアドックハンドラー田中純平さん。
田中さんは、学生時代から作家のC.Wニコル、写真家星野道夫、カヌーイストの野田知佑
の著作を読み自然や動物に興味を持ち、将来はそういったことを仕事にしたいと考えるようになりました。
思いはつのるばかりで、ついには自然環境や野生動物の保護にまつわる知識や技術を身に着けるTCE東京環境工科専門学校に入学し本格的に勉強を開始。
知床国立公園でヒグマ対策のための短期職員として働き、次に大雪山国立公園で
再びヒグマ対策の仕事に就きました。次は、北海道の研究機関に入ってエゾシカの
保護管理の研究補助員としてと大型野生動物の専門家としての歩みを進めて行きました。
そんななか軽井沢での「ヒトとクマとの共存をめざして」活動を進める団体
「ピッキオ」(イタリア語でキツツキ)との出会いに運命を感じ軽井沢へ移住。
そこはヒトとクマとの間に大きな問題を抱えた現状がありました!
軽井沢の人と動物
田中さんは日本屈指のリゾート地軽井沢でベアドックとともに活動をしています。

軽井沢でクマ対策?
と思う方もいるでしょうが、軽井沢の北半分は鳥獣保護区で、ツキノワグマを含むたくさんの野生動物が暮らしています。
その一方別荘地としての開発も進み人口も増えています。
20001年の着任当時、軽井沢はヒトとクマとの生活圏があやふやで、危険な状態でした。
田中さんは、こう語っています。
「クマが出るのは日常茶飯事で、同時多発的にこっちのごみ箱にも、あっちのごみ箱にもクマがいて、そこに住民がゴミを出していると知って、鳥肌が立ちましたね。みんな、この怖さをわかってるの?って。事前に話を聞いてはいたけど、人とクマの距離がこんなに近いというのは想像していなかった。ここまでくると、もはや人の安全を守りながら熊も保護するのは手遅れじゃないかと思ったし、逃げ出したくなるくらい怖かった
実際、知床国立公園で働いていた時の上司に視察を依頼したところ、「これは大変なことになる。ゴミに餌付いてしまったクマは一掃しなさい」と言われたという。それほどの危険が迫っていたのだ。
引用元・https://kurashi.com/journal/11033
クマが開ける事のできないゴミ箱の開発から始め、人力での大声での威嚇、発信機を
取り付けての調査。様々試みましたが、人力では限界が・・・。
そこで次の一手が、ベアドックでした!
アメリカに問い合わせ、カレリア犬を取り寄せ試行錯誤の【日本初のベアドック】導入プロジェクトが動き始めました!

ベアドックとハンドラーの仕事
- 追い払い
ベアドッグの最も重要な仕事です。スタッフの指示に従い、大きな声で吠えて、人の居住エリア近くにいるクマを森の奥へ追い払います。クマは学習能力が高いため、追い払いを繰り返すうちに「いてはいけない場所」を理解するようになります。ベアドッグはクマに襲いかかることはせず、一定の距離を保つことが得意なので、クマも犬も傷つかずに済みます。 - 移動経路の特定
ベアドッグは、クマの匂いに反応するように訓練されています。住民の方などからの通報を受けて目撃現場に駆け付けた際、既にクマの姿が見当たらなくても、匂いでクマの移動経路を特定し、付近の安全を確認することができます。移動経路が分かれば、今後の侵入を防ぐことにつながります。 - スタッフの安全確保
電波発信器をつけていないクマが藪に潜んでいるような場合でも、匂いや音でクマの存在を察知して知らせてくれます。夜間を含め、スタッフは安全に活動することができます。 - ヒトとクマの親善大使
ピッキオでは、クマの生態を知り、被害を避けるための方法を学ぶ出張講座を行っています。ベアドッグはこのような場所に同席し、ヒトとクマとの共存を呼びかける親善大使の役割を担っています。
こちらの記事を参考にさせていただきました!
↓ ↓ ↓ ↓
https://npo.picchio.jp/dog/

まとめ
野生動物と人との共存。こういった取り組みは、振り返れば世界各地で以前はうまくいっていたのではないでしょうか?
テクノロジーの進化によって、何もかも解決できるような幻想にとらわれがちですが、
今一度「ヒトも自然界の動物の一種にすぎない」という当たり前の事実を顧みて、
改めて全動物種との共生を考えていけたらなと思います!